M3中戦車が初めて実戦投入されたのは北アフリカ戦線で5月に起こったガザラの戦いだった。ロンメル将軍率いるドイツ軍は新型戦車の登場によって打撃を受けた。M3戦車が備えた75mm砲に対して十分な対抗手段を持っていなかったためである。M3中戦車の主砲はドイツ軍の対戦車砲及びⅢ号中戦車の有効射程圏の外から砲撃を加えることが可能だった。イタリア軍のM13/40の武装もM3中戦車に対抗するには不十分なものであった。
アメリカが第二次世界大戦に参戦すると、ヴィシー政権が統治していたフランス領アフリカに対してトーチ作戦を発動し、侵攻を開始した。M3中戦車はこの際アメリカ軍の主戦力として活躍し、続いて行われたリビア・エジプトでの戦闘にも参加した。
枢軸国の戦車及び対戦車砲との戦いで大きな戦果を挙げたM3中戦車であったが、車高の高さに比して砲台が低いためにハルダウンを行えない、といった欠点を露呈する事になった。ここで得られた戦訓は後継機M4中戦車の開発に活かされることとなる。北アフリカ戦線後半にM4が実戦投入されると、M3中戦車は主戦力の地位を新型モデルに譲ることとなった。