突撃砲と呼称される兵器が設計された背景には、第一次世界大戦でドイツ軍が得た教訓がある。フランスとの西部戦線で数多くの歩兵が命を落とした原因は、トーチカや塹壕といった敵の防御施設に対して歩兵が有効な打開策を持たなかったことであった。充分な機動戦力がなく、進軍しつつ敵の砲火から身を守る術も殆ど持っていなかった状況では、時間と人命だけが徒に消費されていった。
1935年、ドイツ陸軍参謀本部のエーリッヒ・フォン・マンシュタイン大佐は、このような状況に再び陥らないために、乗員を保護しつつ相手防御陣地に有効な攻撃を行えるだけの装甲と砲火力を有した兵器を開発するという提言を上官であったベック将軍に対して行った。
この提言に基づき歩兵の直射火力を強化するべく、1936年にダイムラー・ベンツ社が設計を開始した。新兵器の車高はドイツ軍兵士の平均身長を超えないようにという指定がなされていた。ベンツ社はⅢ号戦車の車台を用いて実験を行い、やがて試作車両の開発はアルケット社に引き継がれ1937年に5台の車両が生産される事となる。