「ヘッツァー」のニックネームで知られるこのBMM社製駆逐戦車は、Ⅲ号突撃砲の後継機として設計された。第二次大戦が終盤に差し掛かった1944年から生産が開始されたにも関わらず、低コストかつ良好な生産性を誇ったことから大戦終結までにBMM社、シュコダ社で量産され、最終的に2000台以上が製造されたとされている。
本車は、没モデルであった38(t)戦車改良機の車体を流用して設計された。戦車と呼べる程の装甲を持ち合わせていないことが乗員から不評を買い、運用初期にはポーランドレジスタンスの火炎瓶によって破壊されるという事態も出来した。一方で、待ち伏せ・集中攻撃を行う機動戦術が確立された後の戦闘においては高い能力を発揮した。
大戦中に一部の車両がドイツの同盟国であったハンガリーに供与された他、大戦終結後の1946年にはスイス軍が「G-13」と名称を変更し様々な改良を施した上で採用した。スイスでは1970年まで現役戦力として活動した。
1980年代に蜂起したナチ残党を題材とした映画『合衆国最後の日』において設計から40年経過しているにも関わらず現役車両として出撃しているほか、日本のテレビアニメ『ガールズ&パンツァー』にも登場した。